「久喜市のために反対」という重すぎる言葉
市長が開催に意欲を見せるフルマラソン大会。
久喜市出身で世界的ランナーである川内優輝選手が、開催に反対の意思を表明しました。
▼詳細は記事へ▼
開催に反対する15の理由と共に、X(旧Twitter)には「久喜市のことを思っての反対」との趣旨で投稿がありました。
市民マラソンはスポーツの中でも特異な種目です。
公道を規制し、多くのボランティアの協力のもとで開催されます。
例えば(あたりまえですが)市民ソフトボール大会で公道が規制されることはありません
し、運営ボランティアが他団体から動員されることもありません。
プロスポーツを見ても、マラソンほど「公」の協力が不可欠なものは見当たらないでしょう。
だからこそ開催にあたっては「市民の理解(応援)」が欠かせません。
前述の通り、マラソンが特異な存在であるのは、マラソンや駅伝などの種目が国民的な文化でもあるからです。
それだけ国民から「愛されている」証とも言えます。
東京や大阪のように大規模な都市が、社会的役割としてロードレースを開催することは理解できます。
規模は小さくとも明確なコンセプトのもと、自治体が地元から愛されるマラソン大会を開催するもの分かります。
ところが、久喜市のフルマラソンには、川内選手が指摘している通りコンセプトが足りなすぎます。
当初謳っていた
『埼玉県唯一のフルマラソン大会』は、さいたまマラソンの復活により、崩れました。
『世界かんがい遺産である、見沼代用水のアピール』は、その受け皿がまるでありません。
議会で何度か「エリートランナーが記録を狙いやすい大会する」という言及もありましたが、
それに関しては市民のメリットとは言い難く、久喜市の規模の自治体で、公金で担うサービスだとは思えません。
まして、現行のハーフマラソンは6千人の定員に対し、応募は3千人少々。
「久喜市にフルマラソンを!」と銘打って始まったクラウドファンディングは達成率7%に終わりました。
賛成派からは「フルマラソンへの支持率」と「クラウドファンディングの達成率」は違う。という声も聞こえます。
仰る通り、同一のものではないとして、
今の久喜市において、フルマラソンへの支持率は7%を大きく下回るでしょう。
何よりも、久喜市は財政的な理由や、人的資源の不足により、学校の修繕すらままならない状態です。
「賑わい」や「活性化」という使い勝手のいい(事後検証もされない)言葉のもとで、フルマラソンに予算と人手をかけている場合では無いのです。
プロランナーの川内さんにとって、公開の場で特定の大会に反対を表明するメリットはありません。
特に意見を表明せずに、長いものに巻かれて、呼ばれたゲストとして出場している方が遥かに楽でしょう。
それでも、川内さんは「久喜市のためを思って」反対を表明したー。
その意味を、市役所も、議会も重く受け止めるべきです。
0コメント