結論ありきのトンデモ試算!


「間借り」新施設は割高!



市長は陸橋を、新設される商業施設の2階に間借りする久喜市の公共施設(以下:間借り新施設)接続する方針です。

また市長は「間借り新施設」とバーターに、現在の鷲宮東コミセン(さくら)を廃止する方針を打ち出しています。

しかし、間借りはどこまでいっても間借りであり、契約期間30年が経過した後に久喜市で存廃を判断できないことは大きなリスクです。

そこで!

長期で見ると明らかに現在のコミセンを建替えた方が合理的であると判断し、


現在のコミセンに子どもの遊び場機能を加えて建て替えること(以下:新設さくら)を議会で提案しました。


結論的には、市長は『間借り新施設を優先する』という方針を崩しませんでしたが、

議会での議論で、多くの疑義が生じましたので、以下説明いたします。

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恣意的な財政試算
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久喜市が議会で公表した今後30年の財政シュミレーションは以下の通りです。

▼パターンA:間借り新施設▼


【費用】 
内装工事•••••2億4千万
賃料•••••••••16億6千万
共益費••••••••3億5千万
維持管理費••••2億4千万
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中計① ••••••24億9千万
 
【収益】 
さくらの土地売却 ※簿価••2億6千万
さくらの建物売却 ※簿価••1億6千万
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中計➁••••••••4億2千万
 
総費用(①ー②)••20億7千万


▼パターンB:コミセン(さくら)を新設▼

【費用】 
新築費••••••10億2千万
中規模修繕•••3億1千万
維持管理費•••8億8千万
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総費用•••••••22億1千万円
 
だから、間借り新設の方が経済的にも合理的!!と市長は言いたいのでしょうが、

ツッコミどころ満載です。

 
ひとつずつ解説します。

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なぜ「30年」の試算なのか
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こうした試算は「期間設定」次第で結果が大きく変わります。
(住宅の「持ち家」「賃貸」論争に重ねるとイメージしやすいかと思います。)

「新設さくら」の場合は、当然新築費が掛かりますが、これは使用期間によって平準化されるものです。

試算の期間を短く設定すれば、新築の場合が割高になるのは当然です。

逆に「間借り新施設」の場合は、毎年5,500万円の賃料と、1200万円の共益費が掛かり続けるので、期間が長ければ長いほど不利になるでしょう。

また、パターンBで計上されている「中規模修繕費」は、公共施設を80年使用する前提で行うものです。(久喜市公共施設個別施設計画より)

パターンBでは、80年後まで見据えて、修繕費まで計上しておきながら、「30年」で試算を切るのは、不公平と言わざるを得ません。

市は公共施設の標準使用期間を60年、目標使用期間を80年としていることを考えても、
「30年」という期間は短すぎます。

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土地建物を簿価で売却というウルトラC
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パターンAでは、現在のコミセンの土地、建物を「簿価」で売却出来る!というミラクルな設定を持ち出し、 

その売却益で費用を相殺するというウルトラCを炸裂させています。 


まず、大前提として、ほぼ永続的に続く自治体にとって「現金」も「土地建物」もどちらも「資産」であることに変わりありません。

パターンB「新設さくら」の場合でも、土地建物は当然価値を持つはずです。

それにも関わらず、パターンBの資産価値は完全に無視して、資産を現金化した場合(パターンA)のみ、シュミレーションに算入するというのは、どう考えても不公平です。

『土地建物は市の好きな時に、簿価で売却(換価)できる』というミラクル設定はどこに消えたのでしょうか!


そもそも「簿価で売却」という設定は、実態に即していません。

久喜市の近年の事例を見てみます。

東京理科大跡地(鑑定額1億4318万)→無償譲渡


江面第二小(鑑定額6,114万円)
→500万円で売却


こうした事例を見ても、築40年以上経過している現在の「さくら」を簿価で売るという設定が、いかに非現実的なのかがわかると思います。

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5億円屋根付き陸橋はスルーの闇
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そして、最大にして、素朴な謎が「5億円屋根付き陸橋」の存在をスルーしていることです。

市はこれまで何度も、屋根付き陸橋は「間借り新施設に接続するため」と説明していました。

間借り新施設と、屋根付き陸橋はセットであることは周知の事実です。

言い換えると、間借り新施設が無ければ、屋根付き陸橋は存在しないわけです。

交付金を獲得するために、国に提出している「社会資本総合整備計画」にも、「間借り新施設」に接続するため、という前提で記載があります。
※参考※

それにも関わらず「間借り新施設のコスト」に、5億円屋根付き陸橋を加えないのは、意味が分かりません。

本論と外れますが、社会資本総合整備計画には

「鷲宮東コミセン(さくら)の機能を全面移転し、行政サービスを集積することにした」


と記載があります。

全面移転するか否かは、議決事項のはずで、まだ決まってもいないのに、断定的に「全面移転」を謳うことは、市民にとって極めて不誠実であるとともに、交付金を申請する書類として公正とは言えません。

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再試算してみると・・・・・・
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土地建物の売却益を無くし、立体通路を加えると、、、、

▼パターンAやりなおし:間借り新施設▼

内装工事・・2億4千万
賃料・・・16億6千万
共益費・・・3億5千万
維持管理・・2億4千万
立体通路・・5億
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総費用・・29億9千万 

※やり直し前より9億2千万増


市が設定した「30年」という不条理な期間ですら、パターンBの方が7億8千万円も安くなります。

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結論ありきの試算をつくらせたのは?
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率直に言うと、この試算結果そのものより、
このような結論ありきの試算をつくらざるを得ない組織体質の方が問題だと思っています。

市役所の職員の皆さんはとても優秀で真面目です。この試算を本心でつくったとは到底思えません。

結論が先にあって、それに辻褄を合わせるべく無理やり数字の切り貼りしたのだとしたら、きっと辛い仕事だったのではと思います。

不透明な意思決定により、突如降ってわいた、間借り新施設。 


さらに輪をかけての立体通路。異例の「追加」でエスカレーター設置。

我々が扱っているのは、お預かりしている税金です。
だからこそ、手続きの透明性は必須です。
「公益に資する」本来の市役所の在り方を、考え直すべきと思います。

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