前代未聞のフライング予算~宮代町との負担割合協議が難航~


3行でいうと•••

・久喜市が新設する豪華ごみ処理場では、宮代町のごみも処理するため宮代も費用を負担することになっていた


・事前の調整不足のまま、久喜市が豪華ゴミ処理場の詳細を決定・契約したため、負担割合の協議が難航し決定は先送りに


・そもそも宮代町が費用の一部を負担することは2016年時点で決まっていたのに、契約後の「今から」負担割合を協議する不作為は久喜市に大損害を与えかねない!



先週から、朝日新聞、読売新聞、埼玉新聞で続々と久喜市の予算計上ミスが報道されています。




市長はあくまで「事務手続きのミス」との主張ですが、単なるミスではなく組織としての不作為であることは明白です。

宮代町との交渉は、市の負担額を数十億規模で変動させる重大なものです。以下、ご説明いたします。

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報道で分かったこと

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私もこれまで、議会で「宮代町の負担割合」について確認をしてきましたが、答弁は「協議中」の一点張りで、詳細は全く明かされていませんでした。

それが、今回に不作為に係る報道で、続々と新事実が明らかになっています。

・久喜市は2022年度中に、宮代町と費用負担割合について合意することを想定していた


・「負担を求める範囲」を巡って、宮代町と溝がある


・久喜市独自の事業があり、宮代町との考え方に温度差がある


・宮代町は「寝耳に水。協議段階なのに、なぜ具体的な金額が計上されたのか」と首をかしげている



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「負担を求める範囲」とは?
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久喜市は2016年に宮代町と新ごみ処理場の「建設に要する費用」や「施設の維持管理に要する費用」を分担する協定を締結しています。

本件のように大きな工事の場合は、単なる建設以外にも、盛土工事や、監理、周辺道路の整備、さらには建設事業にあたった久喜市職員の人件費に至るまで「建設に要する費用」は多岐に渡ります。

そのうえ、今回の建設費の中には、ジョギングコースや屋上庭園、光る煙突などの、ごみ処理本来の機能とは関係の無い「賑わい機能」分の25億円も含まれます。

これらの費用を「どこまで」を「どの程度」宮代に負担してもらうか、が争点です。

尚、賑わい部分が、議会で問題視された際に、市長はじめ市役所は「賑わい機能は建設のために必要なもので、無駄ではない」という趣旨の論陣を張りました。
※処理場の隣につくる余熱利用施設も同様です。

「地元対策として絶対に必要なものだから、施設と切り離して考えることは出来ない」という理屈です。

そのようなことから「賑わい機能」分を負担割合交渉から切り離すことは理屈上、不可能です。

念のため、11月議会で「宮代町に範囲を求める範囲」を確認したところ

「賑わい部分や余熱利用施設分もすべて、宮代に負担を求める」との答弁も得ています。


私は賑わい機能にはそもそも反対ですが、市
長は「必要だ」と押し通したわけですから、

ご自身の責任をもって、宮代に賑わい分なども含めて負担を求めるのは、当然です。


そもそも市長はじめ、賛成派の議員は施設総額が高額であるとの批判に対して「すべてが久喜市の負担ではない」「宮代からの負担金もある」と豪語していました。

その言い方から、てっきり負担割合は調整済みなのかと思いましたが、まさか全くの白紙だったとは驚きです。

仮に、高額ごみ処理施設の必要性を宮代に納得してもらえず、負担を求める範囲を減らしたり、負担の割合を下げて相殺させるようなことがあれば、その分は久喜市の負担が増すことになります。

総額が500億近いわけですから、例えば負担割合で1%譲れば、久喜市の負担が5億円増すわけです。

最終的に久喜市にとって不利な条件での妥結となれば、市長の責任問題になるのは、必至でしょう。


議会で「費用負担の項目と、割合はすべて公開する」という副市長答弁も得ていますので、交渉の進展を待ちたいと思います。

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なぜ今頃「負担割合」を決めているのか 

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そもそも、問題は負担割合の交渉を、最後の最後(業者との契約終了後)に開始しているという点です。

令和2年(2020年)12月11日の、ごみ処理施設整備基本計画検討委員会でも、具体的な試算額が提示されていますし、 

遅くとも、令和3年(2021年)6月議会で債務負担行為を計上した際にも、費用の上限は示されていました。

施設概要と、施設概要に掛かる総額は、想定されていたわけです。

費用負担は、その時点で交渉し目途をつけ、その後、契約の入札を実施するべきでした。

契約完了後、久喜市としては一歩も動けなくなってから、宮代町との交渉を開始して、有利な条件など引き出せるはずがありません。



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結論を先送りにするリスク
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記事の中で、副市長は「稼働までに協議を終えたい」と表明していますが、

本来2022年度中に妥結を目指していたものを2027年まで先送りする理由はありません。

『債権の回収を先延ばしにしない』というのは、会計の常識です。

公会計においても例外ではなく、先送りすることは久喜市に数々のリスクをもたらします。

①費用が平準化されない

公会計において大型事業の基本は「費用の平準化」です。

これは「複数年に関係する大きな経費が、どこかの年に集中することを避ける」ことで、世代間の負担差をなくそうという考え方で、

今回のようなインフラ整備は、負担を平準化するべき典型例です。

後からまとめてもらえばOKと思っているとしたら、これまでの原則と外れてしまう理由の説明責任は避けられないでしょう。

②キャッシュフローの悪化

①の通り、費用が平準化されないことで市のキャッシュフローの悪化は避けられません。
具体的には、本来はR5年度(2023年)から得られるはずだった負担金を先送りした分は
、久喜市の貯金(財政調整基金)で穴埋めされます。

本来であれば他のの事業に充てられたかもしれないお金を、立替のために費やすことになるのです。

年度単位でみると、市民は不利益を被ることになります。 

また、財政調整基金の残高は、市の意思決定にも重要な参考になりますから、市の意思決定にも影響を与える可能性があります。

③貸し倒れリスク

相手が自治体なので、民間のように「倒産」は無いかもしれませんが、財政状況の悪化など不測の事態が起こることが十分にあり得ます。

または、物価が変動した場合など、価値に対する適切な対価を得られなくなる可能性もあります。

以上のように、今回のフライング予算計上は、単なる事務手続きのミスではなく、組織としての大問題をはらんでいます。

また、交渉の不調により久喜市に大損害を与えかねない重大な不作為です。


これまでの答弁によると、市は建設費・維持費だけで「久喜市負担が200億円~250億円」「国からの交付金や交付税措置が120億円~150億円」「残りが宮代町の負担金」の負担割合にしたい旨を表明しています。

一刻も早く、負担割合が決まり、適切に公開されように、引き続き議会から働きかけてまいります。

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