斬新なデザイン、屋上庭園•マラソンコース付き、422億円!豪華ゴミ処理施設の謎
↑久喜市が公開した『新ゴミ処理施設のイメージ』↑
3行で言うと・・・
①同様事例と比較して高すぎる『422億円』
②高すぎる理由は久喜市が示した「予算感」と「デザイン要求」
③学校修繕すら遅々としている今、なぜ新規ハコモノをつくる時は大盤振る舞いなのか
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久喜市では現在、新ゴミ処理施設の建設計画が進んでいます。
合併前のまま同じ市内で3つのゴミ処理施設が稼働し、それぞれ老朽化している現状を考えると、集約して新設すること自体は必要でしょう。
しかし、久喜市が発表した『422億円』というコストには目を疑いました。
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突出して高額なコスト
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久喜市が予定しているコストは他自治体の類似実績額に比べてあまりにも高額です。
ごみ処理場の新設コストは凡そ「処理量≒焼却炉のサイズ」で決まります。以下の実績一覧(全て2022年)を見るといかに久喜市が高額か伝わると思います。
注1→直近1年以内に実施された入札における実績値です
注2→冒頭に述べていた久喜市のコスト「422億円」には、他事例には含まれない「建設予定地にある現有施設の撤去費12億円」が含まれているため、条件を揃えるべく422億円から12億円を差引き、410億円と記載しています。
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コスト面で競争原理が働かない「仕組み」―――――――――――――――――――
入札には「予定価格」が存在します。
予定価格とは「予算の上限」のことです。
今回は「限度額:390億円」「基準額:421億円」も設定され、予定価格と共に事前に公開されていました。
「限度額」は「これより安いと品質が疑わしいのでNGです!」という、下限の金額です。
「基準額」は「これより高くても良いけど、減点するからね」という金額です。
つまり安過ぎてもダメですし、上限いっぱいまで使うのも減点対象になるわけです。
今回は「総合評価方式」のため、単純に金額で落札者が決まるわけではなく、
要求に対する「提案内容点:600点」+「価格点:400点」で落札者が決定されました。
これだけ見ると「価格で400点も差がつくのか!」と思ってしまいますが、そうではありません。
価格点の計算式に数字を入れて試算してみると、、
限度額390億円~基準額422億円の間であれば、約30点しか点数差がつかないことが分かります。
1000点満点のうち30点ですから、390億円~422億円の範囲内でのコスト差は、採点上大きな影響を持たないことになります。
現に今回、落札したA社よりも30億円安い金額を提示したB社が敗退しています。
そうなると、各企業が422億円前後を攻めてくるのは、当然の戦略です。
つまり、このような評価方式を採用した時点でコストが422億円付近に着地することは容易に予想出来ました。
入札という形式でしたが、コスト面での競争原理はほとんど働かなかったと言えます。
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コストを押し上げた不要な「要求」
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入札には「要求水準」というものが存在します。
要求水準とはざっくりと言えば「(予算内で)こんな感じのものをつくってくださいね」というメニューリストです。
入札に参加する各社は、このメニューリストを前提に競争します。
料理で例えると、
メニューリストに「ハンバーグ」とあれば、
A社「うちは、国産牛肉を使います!」
B社「うちは炭火で焼きます!」
というような提案合戦が予算の範囲内で行われるわけです。
また、メニューリストに「ハンバーグ+オシャレな食器を使うこと」とあれば、各社オシャレな食器の提案も行うことになります。
本題に戻り、今回久喜市が示したメニューリストには
•ごみ処理施設を感じさせない柔らかなデザイン
•建物と煙突のデザインの調和
•賑わいエリア:庭園、遊歩道
など、ゴミ処理施設の本来の機能とは関係のない文言が躍っていました。
これらの「要求水準」が画像で示した、斬新なデザインや、屋上庭園、マラソンコースを生み出したわけです。
私も議員になってから多くの先進的なゴミ処理施設を視察しましたが、
デザインにこだわっていたり、処理場にランニングコースを設置している事例などは一つもありませんでした。
焼却炉の性能や環境教育にお金を掛けるならば理解出来ますが、
不要な付加価値にコストを掛けるのは理解不能です。
そもそも、
ゴミ処理施設にデザイン性を求める方がどれだけいるでしょうか。
ゴミ処理施設に憩いの場を求める方がどれだけいるでしょうか。
「ゴミ処理施設のイメージを変えたい」という理想は崇高ですが、財源は有限ですし、施設には「役割」があります。
大切なのは「中身」であって、ゴミ処理施設の「外側」にコストを掛ける必要はありません。
尚、これらの不要な付加価値にいくらコストがかかったのか明らかにして欲しいと要求したところ、契約上の秘密のため現時点では公開出来ないと回答を得ています。
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「憩いの場」は隣につくるはず
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率直に言うと、ゴミ処理施設は周辺の方に喜ばれる施設ではありません。
そのためいわゆる「還元施設」として、周辺の方に喜んで頂けるような施設をセットにするのが一般的です。
今回久喜市も、新ゴミ処理場の隣に「本多静六記念の森公園」として、
温水プールや、広場、遊具、ランニングコースなどを整備する予定です。
私は、この本多静六記念の森公園には賛成です。
ゴミ処理場に親しみを持ってもらったり、市民の憩いの場を創出する役割は、こちらの記念公園で担うべきです。
記念公園で担う役割を、ゴミ処理場本体に重複して付随させる必要は全くありません。
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これから
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大変ふがいない話ではありますが、事実として
新庁舎建設計画の時と同じく、こうした計画は議会がつくるものではありません。
市長をトップとする市役所がつくり、議会は出来上がった計画への賛否を問われるのみです。
つまり、計画の内容に関与することは出来ませんが、YES、NOの意思を表示することは出来ます。
こうした巨額の投資の原資は税金です。
情報発信を通じて、出資者である市民の皆さんに考えて頂くキッカケをつくることも大切な役割だと思っています。
学校のトイレ改修すら速やかに進まないほど、現場は予算不足に大変な苦労をしています。
なぜ新規のハコモノになると、コスト度外視で億円単位のお金をポンポン使おうとするのか、私にはどうしても理解出来ません。
議会質問で、上記の疑問点を市役所にぶつけます。
議会での多数決の結果が出ましたら、またご報告いたします。
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