危険を放置→中学校で重大事故
私が昨日、議会で取り上げた「久喜東中の事故」が新聞各紙に掲載されました。
昨年、久喜東中で重さ約63キロのモルタル片が、高さ15メートルの校舎屋根付近から落下する重大事故が発生しましたが、
発生に至った経緯は、あまりにずさんなものでした。
そして、昨日まで我々議会にも事故について報告は全くありませんでした。
子どもたちの命に関わりかねない重大案件です。
二度と同じことが起こらないように、厳しく経緯を追及するとともに、今後に向けて抜本的な改善を求めました。
以下、記事を補足します。
3行で言うと・・・・
▶法定検査で危険性を指摘されながら「財政的な理由」等で対応を怠った結果、落下事故が発生
▶落下後も全面的な点検を行わず、「危ない外壁」の一部は放置されたまま
▶修繕や安全点検は「予算があれば行うもの」ではなく、「必ず行うもの」!予算編成の姿勢を改めよ!
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指摘されていた危険性
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学校をはじめ公共施設の多くは「特定建築物」としての建築士など専門家の点検を受ける義務があります。(法定点検:建築基準法第12条)
久喜東中で令和2年度と令和3年度に行われた法定点検において、令和4年度に落下した「屋上付近のひさし部分」は、
一部が欠けていたり、ひび割れがあることから「要是正」と判定されていました。
しかし久喜市は「他にも修繕箇所があった」「財政的な理由があった」(教育部長答弁要旨)として、是正(修繕)を行いませんでした。
その後、令和4年10月31日に、大規模な落下事故が発生したわけです。
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落下後の不十分な対応
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令和4年10月31日の落下事故後、市職員が行った「確認」では、計3か所の異常が発見されました。
市はこの3か所について、令和4年度末に一部の修繕を実施済ですが、最も大きな剥落部分は令和5年度9月までに修繕を行うとしています。
つまり、最も大きな剥落部分に関しては落下事故から半年たった今も事故当時のままです。
放置していた理由を教育委員会は「生徒が普段立ち入る可能性が低い場所だからとの旨で答弁していますが、
学校の敷地内において、生徒の動きを予測することは困難であり、「可能性」など無意味です。
また、修繕を終えた箇所は「生徒が立ち入りやすい場所」でしたが、令和2年度に是正の指摘を受けてから2年間放置されていました。
この点からも、久喜市が危険個所の「是正」の必要性を軽んじていのは明らかです。
さらに、今も事故のまま放置されている箇所については、立ち入り禁止措置を講じたとも答弁がありましたが、6月3日に現地を確認したところ立ち入り禁止措置は朽ち果て、細くなったビニールひもが垂れ下がっているだけでした。
※確認当日に、立ち入り禁止が意味をなしていないことを教育委員会に抗議し、即日改めてもらいました。
そもそも、同じ構造体「屋根付近の外壁(ひさし部分)」で3か所も異常が見つかっているということは、「ひさし部分」の全域に渡ってリスクがあると容易に想像出来ます。
しかし、市職員が行った「確認」は、あくまで「屋上から手の届く範囲で行った」限定的なものでした。
リスクが想定される「ひさし部分」全てをカバー出来ていないことに加え、確認の記録すら残っていないことが判明しています。
つまり、市の対応はあくまで剥落した箇所に対する対処療法であり、予見されるリスクに対しての予防措置ではありません。
この点を議会で指摘し、剥落が起こった構造体(ひさし部分)の全域の改修を強く求めたところ、近々で全面改修する旨の答弁を得ることが出来ました。
一日も早く実施されるように、議会からチェックします。
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隠ぺい体質と管理体制の不備
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本件は昨年10月31日に発生した事故ですが、昨日まで議会に情報提供はありませんでした。
私も、6月2日に久喜東中保護者の方から匿名で寄せられた情報で事故を初めて知りました。
人命に関わるような事故の場合は発生次第「全員協議会」という場で議員に説明するのが一般的です(ペデストリアンデッキの落下事故は全員協議会が開催されました)
今回は、そういった説明の場は全くありませんでした。
また、文科省は県教委を通じて、建築基準法12条検査における「要是正」箇所について、教育委員会が「一元的に管理し」「危険度の高いものから順に早期に是正していくこと」を求めていますが、
久喜市教育委員会は「一元管理」すら実施していなかったことが明らかになっています。
当然ながら今後は一元管理を行うことを答弁で約束してもらいました。一元管理のリストを作成次第、議会に公開することも答弁で確認しましたので、
今後はこれまで発信されていなかった「是正」事項が我々議会の目にも触れるようになります。
更に言えば、建築基準法では一定の条件のもと外壁の全面打診検査が義務化されていますが、これも久喜市は行っていないことが判明しています。
「今後は、法に基づいて実施する」旨の答弁がありましたが、これまで実施していなかったこと自体が大問題です。
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「予算不足」で許されることではない
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本件に限らず、市に「修繕」を求めると、「予算不足」を理由にフットワークが重いことがよくあります。
修繕や点検は「予算があったら行うもの」ではなく「必ず行うもの」です。
市の貯金である財政調整基金、予備費あらゆる財源を活用して、速やかに行うべきでしょう。
誰が頭上からモルタルが降ってくるかもしれないのに、ロクに修繕もしないような学校に通いたいと思うでしょうか?通わせたいと思うでしょうか?
子どもたちを危険に晒してまで、優先される事業などありません。
念のため、率直に申し上げると決して市職員の一人ひとりが「安全」を軽んじているようには思いません。
修繕や点検をしたくとも、実際に予算が無いので、成すすべが無いのが実態だと感じています。
この状況を変えるのは、予算編成の全権を持つ梅田市長の「姿勢」に他なりません。
市民の命に関わるような修繕や点検の予算も十分に措置できないのに、
喜々として新ごみ処理場の煙突を光らせたり、マラソン案件に億単位の経費を突っ込もうとしている場合では無いのです。
議会から突き上げていきます。
また、他にも点検や修繕が十分でない事例がありましたら、是非情報を頂けたら幸いです。(匿名でも構いません)
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