新ゴミ処理施設、私は反対です。



新聞報道をにぎわせている久喜市の新ごみ処理施設問題。

委員会では「否決」となりました。


しかし、委員会の採決と、本会議の採決は別であり

30日の本会議の議決が、久喜市議会の最終的な議決となるため、まだ結論は分かりません。現在の会派構成から予想すると、本会議では賛成多数になる可能性も高いです。

そんな現状も踏まえて、私が反対する理由をご説明します。

―――――――――――――――――――争点は「賑わい」と「斬新なデザイン」―――――――――――――――――――


まず、強調したいのは反対の論陣を張る我々も

「ゴミ処理場の統合・新設に反対しているわけでは無い」ということです。


1つの市で3つの焼却炉を持つのは非効率ですし、それぞれの焼却炉の老朽化は明らかであり、新設は間違いなく必要です。

ただでさえ、梅田市長が杉戸・幸手のゴミを受け入れ案を表明し、自ら撤回した右往左往により

新設は従来の計画から1年遅れていますので、速やかに新設を進めるべきと思います。

また、焼却炉の性能向上(ごみ発電効率アップ)や、環境対策のためのコストも惜しむべきではないと思っています。

今回争点になっているのは、ゴミ処理そのものには凡そ関係のない「賑わい機能」と「斬新なデザイン」の必要性です。


そのため、市が度々説明する「ゴミ処理施設の新設で管理経費が10億節約できる」という論点は、全く筋が違う話です。

むしろ無駄な「賑わい機能」を付けたことによって、管理経費の節約効果は圧縮されているのですから

「本来はもっと節約できるはずの管理経費が、10億円まで圧縮されてしまった」というのが正確な説明です。


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「賑わい」に25億!「光る煙突」!?―――――――――――――――――――


審議の中で、コストの内訳が徐々に明らかになりました。

まず、ジョギングコースや、屋上庭園、屋外ステージ等の「賑わい機能」にかけるコストは市の試算で25億円とのことです。



尚、煙突は「光る」仕様だそうです。。。。。


これだけで、開いた口がふさがりませんが、
これはあくまで「賑わい分」の試算であり、

斬新なデザインに掛かるコストや、伴う維持費等は「公開できない」そうです。


また20年間の管理運営費として145億円を計上していますが、これも近年の他市事例と比較して1.5倍近く高額です。

「賑わい」「斬新なデザイン」が、他市事例と比較してコストを押し上げていることは間違いないでしょう。

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「賑わい」は地元の要望ですら無い
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確かに、ゴミ処理施設はいわゆる迷惑施設であり、施設を受け入れてくれる地元への配慮無しに進めることは出来ません。

ゴミ処理場の熱を使ってつくる、いわゆる「余熱利用施設」「還元施設」は、全国的にも多く事例がありますし、久喜市にも必要と思います。

本件を扱ったYahoo!ニュースのコメントで「ゴミ処理施設を受け入れた地元への配慮は必要!」というコメントがありましたが、これは少し誤解があります。

新聞記事ではあまり触れられませんでしたが、久喜市は、ゴミ処理施設とは「別予算」で「処理場の隣」にプールや公園、ジョギングコースを含む大規模な余熱利用施設を建設する方針です。

充分な余熱利用施設を別でつくるのに、なぜ処理場本体にも「賑わい」が必要あるのか?というのが、争点です。

尚、一部賛成派の意見にて「賑わい機能」は「地元の要望」かのような主張がありましたので、地元から出されている要望書も全て確認してみたところ、

「周辺環境に配慮した安全なゴミ処理施設」「(処理場の隣に)公園の整備」「公園との調和」等の趣旨は確認出来たものの、処理施設本体に賑わい機能を付帯したり、斬新なデザインにする要求は一切ありませんでした。

余計な付帯価値は、地元ではなく、久喜市が主導したものであることは委員会答弁でも担当課長が認めています。 

ちなみに梅田市長は、2018年時点では予熱利用施設に反対の主張をしています。

↓梅田氏が配布していたチラシ↓

是非、整合性のある説明をして頂きたいところです。

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「賑わい」だけど集客目標は無し!
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市は賑わい部分の目的を「施設内の環境学習コーナーに誘導する」ためと説明しますが、

「環境学習コーナーに、年間何人の集客を目指すのか」確認したところ、

「集客施設では無いので、目標は無い」とのことでした。

25億もかけて、人の流れをつくるのに、目標も無いのはあり得ないし、

そもそも、市が描くイメージ通りにゴミ処理場に人が集うとは到底思えません。

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不透明な「見積もり」と要求水準
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ここからはマニアックな内容になります。
私が本件に関して、最も疑問に感じているのは、

「賑わい部分」の見積もりが、公開されるべき検討の過程において、全く明かされていないことです。


議事録や資料を確認して頂ければ分かりますが、

焼却施設に関わる見積もりの手順や流れについて、有識者や市民を含む「検討委員会」で丁寧に説明しているのに、賑わい部分の見積もりに関しては、全く言及がありませんでした。

ついにはゴミ処理施設建設の憲法ともいえる「ゴミ処理施設整備基本計画」にも賑わいに掛かるコストは反映されず、

いきなり「債務負担行為」として議会に上がってきました。(この時点でも「賑わい分では○○円」としては説明されていません)

【検討委員会議事録・資料】

【久喜市ゴミ処理施設整備基本計画】

さらに、答弁では

・賑わい部分の見積もりを債務負担行為時点で69億円として、予定価格にも反映した

・予定価格とは別に、市として「適正価格」を25億円~30億円と設定した。

との説明がありました。

適正価格25億~30億に対し、倍を大幅に超す69億円を予定価格を設定するのは不可解です。

また、適正価格と予定価格が乖離していることで、別の問題も発生します。

今回の入札は予定価格、基準額、限度額等を公開する方式で、予定価格の75%程度に着地をさせるような設計でした。

つまり、過大な見積もりで予定価格が上げたことが、最終的な落札額にも影響を及ぼした可能性が出てくるのです。

市は「適正価格を積み上げて75%程度の落札を設定したので、問題ない」と言いますが、 

 肝となる適正価格の根拠も「企業秘密に触れるため」公開出来ないそうです。


あくまで、市は賑わい部分を「メーカーの自由提案だ」としていますが、市役所内部で「賑わい創出プロジェクト」を発足させ「報告書」を公開しています。

報告書でイメージを伝えている以上、それが実質の要求水準と考えるのが自然です。

時系列でまとめると以下の通りです。


①2019年9月~2021年3月
ごみ処理施設整備検討委員会(有識者、市民参加) 

②2020年3月
久喜市賑わい創出プロジェクト(市役所職員有志)が報告書公開 

③2021年3月:ごみ処理施設整備基本計画策定
※賑わい機能のコストは計画に反映せず

④2021年3月:②の報告書を基に賑わい分の見積もりを各メーカに取る

⑤2021年6月議会 賑わい分を「69億円」として債務負担行為に含み計上 

市は「賑わい機能」のイメージを2020年3月時点で持っていたのに、

なぜ2021年3月まで続いた検討委員会でもろくに取り上げず、2021年の基本計画にもコストを全く反映しなかったのでしょうか。

この理由については「施設規模が決めるのが先だ」と答弁がありましたが、結果として「賑わい」が施設全体に大きな影響を及ぼしているのですから、

私は処理施設本体と共に情報公開をしながら進めるべきだったと思います。


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コスト差の影響が小さい採点方式
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もう一つ気になっているのは、久喜市が採用した入札の採点方式です。

価格点:非価格点=4:6なのは、一般的なのですが、

久喜市が採用した「価格点」の算出式は、価格差によって、点差が開きにくいものでした。

前述のとおり久喜市は、入札に際して「落札者決定基準」で事前に予定価格541億円、限度額(これを下回ると失格)390億円、基準額(これより高いと減点)421億円と公開していました。

つまり、390億円~421億円をメーカーが目指して入札することは、容易に想定出来るわけです。

尚、落札した日立造船は約422億円、最下位だった川崎重工は390億円で、コスト差は約30億ですが、この2社の価格点の差は30点です。

1000点満点の30点ですから、それほどのインパクトにはなりません。


一方、久喜市と規模が近い(359億円、200t/日)岡山市の落札者決定基準では、約30億円の差は1000点満点に換算すると120点の差になります。



つまり、久喜市よりも岡山市の方が遥かにコスト差が評価に反映されることが分かります。

なぜ久喜市は、価格による競争を避けたのか、明確な説明はありませんでした。

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これからどうするか
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委員会では否決出来たものの、現在の会派構成から推測すると、本会議では予断を許しません。

しかしながら、例え本会議で可決されても、市民の皆さんの関心が高まれば、建設までに無駄な部分が削減できる可能性は残されています。 

「市民の皆さんの声などの情勢によって、見直しも出来る」旨の答弁もありました。

私は、学校の修繕すら、長きにわたりお待たせしている今の久喜市に、

ゴミ処理場の煙突を光らせて喜んでいる余裕等ないと思っています。


少しでもムダを減らすべく、実態を知ってもらう広報に努めます!ご協力のほど宜しくお願いいたします!

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