久喜市議会での不見識な問題発言

久喜市議会における「問題発言」が埼玉新聞に掲載され、Yahooニュースに転載されました。


今回「問題」となったのは鈴木松蔵議員(新政久喜)の一般質問における以下のような発言です。

-引用開始-

レズビアンにしてもゲイにしても、ふつう子どもはできないわけですけど、
養子を迎えるとか、あるいは人工授精により子どもを得るということもありますけど、
これはですね、法による結婚ではないわけですから、解消するのはものすごく簡単なわけです。


それで、子どもが、先ほど言ったような形で得てもですね、養育の義務はないのではないかと思います。


また、義務教育を受けさせる義務というのも想定されないと思うのです。


そうするとですね、その子どもはですね、成長に精神的な意味で非常に不安な状態に置かれるということも想定されるわけでして、


その場合はですね、その子ども等に対する影響は非常に大きいということも考慮しなければいけないのではないかと思いますが、こういったいろいろ問題については慎重に考えなければならない。


とある民法学者は言っております。

-引用終了-

本件は、鈴木議員本人が不適切であったことを認め、撤回しておりますが

市民の方からも、見解を求めるご連絡を頂いておりますので、私の見解を記します。



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憲法や法への不見識
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まず、鈴木議員の「問題発言」は憲法や法律への不見識に起因しているものと思います。

憲法26条には「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。」と明記されています。
 
一読すれば分かるように子女に義務教育を受けさせる義務を負うのは「(子女を保護している)全ての国民」です。

血縁関係のある「親」に限定したり、まして「性別」を限定するものではありません。

「保護者」という言葉があるように、様々な事情により「親」ではない方が「保護者」となっている例は枚挙に暇がありません。

鈴木議員の『「養子」や「人工受精」で子を授かった性的マイノリティが養育の義務を持たず、義務教育を受けさせる義務がない』という考えは

完全に事実誤認であるうえに、様々な「家族」の形をないがしろにしたものです。


尚、教育基本法第10条にも、子の教育について第一義的責任を有するものとして「父母その他保護者」と明記されています。

◆教育基本法第10条◆
「父母その他の保護者は,子の教育について第一義的責任を有するものであって,生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに,自立心を育成し,心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする」

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「パートナーシップ」と「法律婚」―――――――――――――――――


鈴木議員は、これまでも複数回に渡って憲法24条「婚姻は両性の合意によってのみ成立する」という部分を根拠として

「パートナーシップ」を推進することは「憲法24条に反するのではないか」と主張しています。

久喜市が制定する方針のパートナーシップ制度は、まだ詳細が決まっていませんが、

先進自治体におけるパートナーシップ制度は「婚姻に相当するパートナーであること」を証明する書類を発行したり、家族向け公営住宅への入居を認める内容になっています。

つまり、自治体が出来る範囲で、マイノリティの方々の「生きづらさ」を解消することを目的としています。

広義で重なる部分はあるにせよ「パートナーシップ」と「婚姻=法律婚」は法的に同一のものではありません。

それにも関わらず、

「婚姻」に関する条文を「パートナーシップ」に当てはめ、推進を否定したかと思えば、「法による結婚ではないから解消はものすごく簡単」と言い放つ、鈴木議員の論理は矛盾しています。

言うまでもなく、婚姻によるカップルも、パートナーシップによるカップルも、法的な位置づけは違えど、どちらも尊重されるべきです。

「解消」という心の機微に深くかかわることを指し「ものすごく簡単」と軽々に発言することは極めて不適切です。

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今まで通りの人生が続く
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様々な論点を持つLGBTに関する議論ですが、私はニュージーランドのモーリス・ウィリアムソン議員の演説が最も腹に落ちています。

(ニュージーランドで同性婚を認める法案が成立した際に行った演説)

-引用開始-

「明日も世界はいつものように回り続けます。だから、大騒ぎするのはやめましょう。この法案は関係がある人には素晴らしいものですが、関係ない人にはただ、今までどおりの人生が続くだけです。」

-引用終了-

日本国憲法の根底にある理念は「個人の尊重」と「幸福の追求」です。

パートナーシップ条例は、今生きづらさを感じている方を尊重し、幸せを追求できるように寄り添うものです。

当たり前ですが、第三者の人権に干渉することはありません。

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今も積み重なる「歴史」
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以上のように、今回の発言は単なる事実誤認に留まらず、誤った認識により誰かを傷つける可能性があるものです。

よって、看過出来るものでなく、厳しく批判されて当然と思います。

一方で、

他会派ではありますが、鈴木議員が歴史や伝統を重んじる方であることは、よく承知しています。

誰もいなくなった控室で1人、勉強されている姿を見たこともあります。

だからこそ、ご自身の価値観と一致する「歴史」だけでなく、

世界中で、今この瞬間にも積み重ねられている現在進行形の「歴史」にも目を向けて欲しいのです。


私たち議員は、間接民主主義のもと、多くの方の「代わり」に議席をお預かりしています。

自分の信念を軸としながらも、自分以外の「誰か」の気持ちを想像することが「代弁者」たる私たちに求められると思っています。

今回の件を他山の石として、広い知見を持てるよう精進して参ります。

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